「誰が音楽をタダにした?」
田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レーベルのCEO。彼らのたどる道が奇妙に交錯し、CDが売れない時代に突入していった過程を描き出す。誰も語ろうとしなかった強欲と悪知恵、才能の友情の物語。
引用:https://www.amazon.co.jp/誰が音楽をタダにした-巨大産業をぶっ潰した男たち-早川書房-スティーヴン-ウィット
2016年に出版されて話題になった「誰が音楽をタダにした?」。kindle無料版で冒頭70ページくらい読めます。これだけでもかなり面白いです。
mp3の死刑宣告
「mp3の死が宣告されたのは、1995年の春、ドイツのエアランゲンの会議室だ。」という一文から始まります。当時はmp2の方が認められていました。
圧縮のトリック
一番興味深かったのが「なぜ音を圧縮してもちゃんと聞こえるのか?」に関して書かれている部分。
音響心理学の視点で見ると、耳は「適応型」の器官で、マイクのようには機能しない。現代の人間の耳は、まず言語を聞いて解釈し、大型の肉食動物から身を守る早期警戒システムとして働いている。
もっと簡単にいうと「ある程度までしか聞こえない」という構造的な欠陥がある。その欠陥の範囲内なら、圧縮しても同じ音にしか聞こえないという点をうまく使ってmp3は作られた。
そしてその欠陥はかなり広範囲にわたって存在する。半音ズレた音を同時に聞けば違いがわかるが、半音以下のズレであれば全く同じピッチじゃなくても、同じ音階に聞こえるポイントがある。音と音の間が半秒あれば誰でも区別できるけど、数ミリ秒に縮めると音が同時に聞こえてしまう。どちらも片方の音を大きくすると、効果はより高まる。
このような「マスキング効果」を使った言わばトリックで、いらない部分を排除して、ビット数(音の解像度)を軽くしている。
色々なレビュー
・冒頭のエピローグ部分がまるまる載ってます
誰が音楽をタダにした? CDが売れない時代を作った張本人を発見(スティーヴン・ウィット) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
・とりあえず要約だけ読みたい方へ
音楽がタダになった3つの理由 | 要約の達人 from flier | ダイヤモンド・オンライン
・長いけどおもしろい
『誰が音楽をタダにした? 』(早川書房)を読んで、私が端っこから見ていたあの「革命」の時代を回想する。: tnfuk [today's news from uk+]
・菊地成孔さんのブログ
無料世界から再撤退します - naruyoshi kikuchi INTERNET TROISIEME
まとめ
専門用語が多いのでちょっと大変だけど、とても面白いです。映画化の話もあったりなかったり。イニャリトゥが監督だったらちょっと見たいなあと思いました。
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