自殺はしょうがない、と基本的に思っている。ただ、残念だ。
死にたいと思ったことがある人は少なくないだろう。自分自身も何度かある。今現在生き延びてしまっているから、そこまで深刻ではなかったんだろうと、今なら俯瞰して言える。「若気の至り」の一言で済ませられるくらいに。
若い人が自死を選んだニュースを聞くと、年を追うごとに「何も死ぬこたねえのに」と思うようになってしまった。年齢を重ねるといろんなこだわりがなくなり、人の目も気にならなくなり、小さなことに喜びを見出せるようになるから、楽に生きられる。若い時ほど楽しくはないけれど。
病気ではなく自ら人生を閉じてしまった友達の数も、片手では足りないくらいには、長く生きてしまった。10代、20代の時は喪失感しかなかった。「あいつのためにもっとなにかできたんじゃないか」と。でも、多分何もできないんだよな。あらゆる分析は事後にしかできない。
こういう時、中島らもさんの「今夜、すべてのバーで」のワンシーンをいつも思い出す。若くして亡くなってしまった男の子が寝ている霊安室で、医者とアル中の主人公が泥酔して殴り合うシーン。医者は言う。「あんたの20年をこの子にくれてやれ」と。
自殺は多分、なくならない。
しょうがないけど、やっぱ残念だな。
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